『戦うことをやめる』
気づかないうちに、傷つけられていることがあります。その相手が、切っても切れない間柄である「親」であることも、しばしば。一番身近な存在なので、それだけ影響を受けやすいのです。
最初の関門は、「気づかないこと」でした。知らないうちに傷ついたり、負荷が蓄積して、問題が生じます。子どもの頃は大丈夫でも、大人になって何らかの問題が生じることもある。
その問題自体は「今現在」なのですが、原因は「過去」とつながっているので、なかなか気づけません(時間超越の罠)。さらに、親を悪く言うことには ―― いい人ほど ―― 抵抗があるので、余計に難しい。
さて、その第1関門を何とかクリアしたとして、次にどうなるでしょうか? おそらくは、「絶望」につながる。なぜなら、状況が好転しないからです。この辺は、第1回に書いた通り。
ではいったい、どうしたらいいのでしょう?
<(04) 対応>
[相手は変わりそうにない]
人間、一度や二度のことでは、イライラしません。イライラするのは、何度も何度もされているから。深く傷つくのも、ウンザリするのも、そのためです。
何度も何度もということは、相手が執拗にそれを続けているから。変わることがないから。
「相手に変わって欲しいと願う」→「でも変わることはない」
これが深く落胆する理由でもあります。人間、自分のすることは変えられますが、相手のことを変えるのは難しい。
・変わらない相手に望むのはやめる。
・「あの人は変わりそうもない」という前提。
・もっと実際的なことをする。
逃げる、助けを求める等の選択肢も、あるでしょう。この場合で一番よくないのは、「現状維持」です。傷つけられ続けるのは、よろしくない。
[戦うことをやめる]
勝った負けたの話になると、余計に傷ついたり、落胆したりしそう。相手が変わることを願い、けれど一向に変わらないのだから、負け戦です。戦っても不毛なのは、おそらく十分に経験済みのはず。
・勝ち負けという判断基準を捨てる。
特に、「相手を認めたら負けだ」「相手の要求を呑んだら負けだ」という信条を持つ人とは、戦わない。不毛なだけです。
「でもでも教の信者」も、同じ。何を話しても、「でも」「しかし」と否定されたら、お話にならなくなる。戦う価値など、ありません。
勝負にこだわる人は、「非を認めたら負けだ」と、頑なになる。これでは修正できません。(間違ったことを続けるわけで、本当はこの時点で、負けてるんですけどね)
[何が大事なの?]
大事なのは勝ち負けではありません。
・望んだ結果を得ること。
・穏やかな生活を取り戻すこと。
例えば、ウンザリしなくなること、イライラしないですむこと、否定されないこと、平穏に暮らせること。一番シンプルで効果的な方法は「そうさせている相手が変わること」ですが、それが無理そうな場合、別のことを考える。
上で出てきた、逃げる(避難する)、助けを求める、というのは、そういうことです。あるいは、心がゆるせ、ある程度秘密を守れる人と話をする、というのもあるでしょう。そのプロが、カウンセラーとも言える。
「話すことで心の中に蓄積してきた感情が外に出る」「だんだんと整理がついてくる」、そういった効果が期待できます。ただ、「すぐに」ということはなくて、長い時間がかかる場合も、多々あると思われます。
・理想は相手が変わること。
・できなければ、心身を蝕(むしば)む、相手の悪影響から逃れること。
・現状維持の度重なる継続が絶望を生んでいます。
[本心を知る]
・したいことをする。
それを罪だと思わされている場合があります。「ワガママ」「自分勝手」という悪い魔法の言葉に、ダマされないこと。
自分の空間や領域を守ること、自身の責任において選択すること、それらは罪ではない。それを侵そうとする方が、よほど罪です。
・嫌なことは嫌だと拒否する。
これも立派な権利。度を越えた支配を受ける義理はありません。
・立ち入らせない。
・口出しさせない。
度を越えた侵害には、No! という権利がある。
[期待しない]
変われない人に期待しても、仕方ない。
[相手の責任まで負わない]
相手のしたことは、相手に責任がある。こちら ―― 特に子ども ―― が負ういわれはない。
[無限ループからの脱出]
延々繰り返してきた古いパターンから出ること。不毛な堂々巡りから、脱却すること。場合によっては、影響を受けない程度の距離を置く。相手のしたこと、言ったことに、反応しないですむような工夫を。
[相手が理解できるできないは関係ない]
まず、自分の気持ちを大事にする。思ったこと、感じたことを大切にし、時には主張する。
◇
もちろん、一番いいのは、相手が変わること。自分も相手も変わり、状況が改善されるのが、理想的です。しかし、理想を求めて傷つき続けているのなら、そろそろ卒業の時。
いま大事なのは、「彼らに左右されないこと」「悪い影響を受けないこと」なのです。
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