防衛機制―守護者と壁の役割―
□ 1.抑圧(repression)
□ 2.同一視(identification) (以上、2006年6月8日)
□ 3.反動形成(reaction formation)
□ 4.逃避(escape) (以上、2006年6月9日)
□ 5.投影(projection)
□ 6.合理化(rationalization) (以上、2006年6月12日)
□ 7.補償(compensation) (以上、2006年6月14日)
□ 8.置き換え(displacement) (以上、2006年6月28日)
□ 9.ベクトル (以上、2006年6月29日)
□ その他の防衛機制(以上、2006年7月4日)
□ 終わりに…(以上、2006年7月6日)
□ 「麻痺」を追加(2007年02月01日)
注意)他のページと同じく、かなり私見に彩られています。
★『プロローグ』★
我々の身のまわりのモノには、だいたい保護装置や保護機能のようなものがついています。(「だいたい」というのは言い過ぎかもしれませんが、多くのものに隠れたところで付いていたりします)
電化製品などであれば、過負荷がかかった時などに、自動的に停止するような機能がついているものです。
熱に対する保護、過電流保護、過電圧保護、雷に対する保護、いろんな保護機能がついています。
これらの保護機能がない場合、(何かしらの異常により)製品自体が破壊されたり、それによって周囲に被害だ出たりします。
(火災になったり、ブレーカーがとんで他の装置まで停止したり、その他いろいろと…)
過負荷がかかった時とか、過剰な入力があった時とか、何かしらの異常な事態に置かれた場合(あるいは、自らが異常な状況を作り出した場合)、機能そのものを停止したり、入力を遮断したり、そうすることで、本体を(ひいては、周囲をも)守るわけです。
で、このような保護機能は、人間にもあるようですね。
過剰な負荷や、過剰なインプットに対する保護機能が…
☆
「防衛機制」という言葉があります。
辞書でこの言葉を引くと、以下のように書かれています。
【防衛機制】
不安・葛藤・フラストレーションなどから自己を守ろうとして働くさまざまな心の仕組み。
投射・退行・抑圧・昇華・合理化など。適応機制。
(三省堂「大辞林」より)
「防衛機制」も人間(あるいは、人間の心)の「保護装置」や「保護機能」のような役割であって、人にとって、不可欠なシステムです。これらの機能によって、我々は守られている。
大きな問題にぶち当たった時、確かに、これらの助けなしに、その問題を処理できればいいでわけすが、人間というものは、そうそう完全な存在ではありませんから、我々は混乱したり、ブレーカーがとんだように頭の中が真っ白になったり、考えがまとまらなくなったりします。
中には、このような状態になってしまう自分を、弱いとか情けないと思ってしまう方もおられるかもしれませんが、このような状態も、我々の心を保護してくれる機能が働いているからであって、それによって、我々(あるいは、我々の心)が崩壊してしまうのを防いでくれているわけです。
(何らかのカタチで、過負荷を取り除いてくれているわけですね)
とはいえ、保護装置が働くのは、いわば異常事態や危機的状態であって、「それは望ましい状態ではない」とも言えれるわけで、そんな状態が長く続くのは、あまりよろしくないかもしれません。
何かしらの製品を考えた場合でも、何度もブレーカーが落ちたら困るし、保護装置が毎度毎度働いていたら、これは問題です。
何かしら問題があると思ったほうがよさそう。
で、こういう場合、(製品だと)動作環境が正常かどうか、調べます。それを手がかりに、問題を探すわけです。
そうしないと、思ってもみない事態が起こるかもしれませんから。
で、心の方も、同じ事がいえるのかもしれません。
いつも心のブレーカーが落ちていたら困るし、心の保護装置・保護機能が毎度毎度働いていたら、それは問題かもしれない。
放っておいたら、本体が消耗したり、根本的な危機が訪れるかもしれません。
周囲との摩擦で、火事(火事的状況)になる場合もあるかもしれない。
こういう場合、(製品の状態や動作環境を確かめたりと)広い視野で見ることが必要なように、いったい(自分が)どういう布置にあるのか、見てみる必要があるかもしれませんね。
(視野が狭くなったり、何かしらにこだわり過ぎると、大事なことを見逃しがちですから)
あるいは、自分だけでは分からない時は、専門家を頼る。
☆
そういうわけで、何回かに渡って、このような「防衛機制」について、書いていきたいと思います。
【追記】
とはいえ、防衛機制が働いている状態が、必ずしも異常というわけでもないですよ。
むしろ、正常と言っていいでしょう。
あとで書いていく防衛機制の症状は、(その程度は別にして)誰もが経験しているはずです。
なんてったって、そのお陰で我々は生活していけるんですから。
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