防衛機制―守護者と壁の役割―
★『その他の防衛機制』★
これから書くものは、防衛機制として定義されているものではありません。どちらかといえば、それっぽいもの。
ただ、同じような働きをしているんではないか? と思われるものです。
皮肉、嫌味、引き落とし、キレる、逆切れ――こういうのも、防衛機制的な仕事をしているのかもしれません。
皮肉を言うことで、
嫌味を言うことで、
相手を引き落とすことで、
キレることで、
何とか、自我の安定を守ろうとします。
(自我のの尊厳を守ろうとします)
防衛機制の役割は、自我の安定やまとまりを守ること。崩壊を防ぐことです。
そして、自我は認識してなくても、いろいろな事情で人は、けっこうぎりぎりの状態になっていることがあります。
なので、目の前の現実を受け容れられない時がある。
それを認めると、自我が危なくなる。だから、何とかして、回避せねばならない。
自我の崩壊を防ぐために、認識を歪める必要が出てきます。
力をどこかに逃がさないといけなくなる。
何かの拍子に、触れたくない現実が目の前に現れた。それを認めると、自我の安定が乱される。
その対処法として、上で書いたような態度や行動が使われます。
それを認めるわけにはいかないので、皮肉を言う。
あれをみんないいもののように言うけど、実はそんなことないよ。
そう口に出し認識することで、自我の安定を守る。
(これは、理屈をつけて納得するという、合理化に似てますね)
嫌味もまた、同じような効果があるのでしょう。
引き落としも、そう。
それを認められないので、実際より低くする必要があります。
キレる、逆ギレする、というのは、自分に向いている負の感情を、相手に向けること。
自分が悪い、間違っていた、それを認められないので、それを打ち消す方に力を注ぐ。
そうやって、自我が不安定になるのを防ごうとします。
ただ、見てお分かりのとおり、これでは何の解決もされていません。
実際は何も変わらない。
皮肉や嫌味を言ったところで、対象の位置も自分の位置も、何も変わってはいない。
自分の心の中だけで、順位変動があっただけです。
また、キレたからといって、どうにかなるわけではありません。
問題となっている態度や行動は、むしろそのまま。
なので、一時の安定は得られても、状況はそのままだったり、場合によっては、むしろ悪くなったりする。
そんな二面性が、防衛機制にはあるのです。
そして、それをだんだんと認めるという仕事が、大人には残されています…
ちなみに、これまで書いてこなかった他の防衛機制には、以下のようなものがあります。
・昇華(sublimation)
抑圧された否定的な衝動や欲求を、肯定的なものとして表現しようとする。
例えば、抑えつけているうっぷんを、スポーツにぶつける。
性的な衝動を、絵画や文章など、芸術として表現する。
本来社会的に認められていないものを、社会的にも認められたカタチとして、顕現させます。
・退行(regression)
精神発達上、逆の方に戻ること。
困難に遭遇した時など、幼児化したりする。
急に甘えるようになったり、依存するようになったりする。
ただし、これは常に否定的に働くとは限らず、前に進むための一時撤退や、現状を見直すための後退も、含まれる。
他にも、攻撃、固着、打ち消しなどがあるようです。
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