城太郎日記 ユング心理学 スマートフォン版


どうして、目の前のものと関係ない感情が出てくるんだろう?

コンプレックスとカテゴリー


ある特定の状況で訳が分からなくなる時、無意識でコンプレックスが働いているのかもしれません。

では、そうなる時とそうならない時で、どんな差があるのでしょうか?

それは、「カテゴリー」による影響かもしれません。


<投影>

前回書いたように、コンプレックスは、目の前のものと無意識内の何かとを、強い情緒を伴って結びつけます

これは何でも結びつけるわけではなく、「結びつけるのにうってつけの対象」に、そうするのだと思われる。


我々は意外と、意識できていないことが多いのです。特にコンプレックスや影に関わるものは、意識することが困難になっている。

でも、意識しないから無いのかというと、もちろん、そうではありません。意識できないだけで、それは生き続けます。それはいわば、無意識という闇の中で、生きている。

そんなものが、意識上に現れ、認識されることがあります。それが「投影」

自分の中にあるものを相手に投影し、それで認識することができます。影の場合は、自分の影なる部分を相手に投影し、あれこれと攻撃的に批判したり、執拗に否定したりする。

コンプレックスの場合も同じで、目の前の相手に、強い感情を伴う何かが投影され、それで戸惑ったり、動きがぎこちなくなったり、よくわからない感情に揺らされたりするんですね。

でも、「目の前のもの」と「自分の中にある何か」は、同じではない。同じではないにもかかわらず、まるで同じように扱われ、同じような強い感情が出てくる。

これで人は、困ってしまうのです。


ただ、困ってしまうのだけれど、それだけでもないようですね。

そこには、ヒントがある。

「意識できない何か」「投影先」、このことから、自分の無意識内にあって処理されていない、しかも強い情動を伴うもの、それと出会えるかもしれないことが分かる。

そのヒントが、「カテゴリー」になるのでしょう。


「誰かの前では、いつもとは違ってしまう」
「でも、その人に、特別な感情があるわけではない」

こういう時、未処理の何か、それも放っておけない何かが、無意識内に残っているであろうことが推測される。

そしてそのヒントとして、カテゴリーというものが物を言うかもしれないのです。


(続く…)




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