城太郎日記 ユング心理学 スマートフォン版


見えないものに気づくには、どうしたらいいんだろう?

コンプレックスと気づき


コンプレックスにより人は、ある特定の状況でうまく動けなくなったり、よくわからない情動に困らされたりする。それにはどうも、無意識内にある何かが関係していそうです。

こんな時、どうすれば、今は目に見えない「それ」について知ることができるんでしょう?


<カウンセリング>

その方法のひとつに、カウンセリングがありそうですね。

カウンセリングは広義には、クライアントに対し心理的な援助を行うことですが、ここでは徹底的に話を聴くことを言います。

では、それがなぜ効くのか?

それは、話をすることが内面を吐き出すことにつながるからです。

今はまだ意識化できていない何か。それをカウンセラーを前にして話すことで、だんだんと出していくわけですね。

初めはまず、できません。意識化できなくて困っているわけだから。ただ、いろんなことを話していくことで、だんだんと内なるものを表現する練習になる。

近づいたり、離れたり、心が揺れたり、休んだりするものの、固まっていたものが解(ほぐ)れて、だんだんと意識しやすく、話しやすくなってくるわけですね。

いうなれば、話す練習をすることで、目詰まりが取れてくるわけです。時間はかかりますが。


この際、前に話した「投影」が物を言うようになります。

影に関することなら、投影先に関して、それがいかに悪いか、いかに無価値か、攻撃的に罵ったりするでしょう。

コンプレックスに関することなら、すごく困っていることを主訴として、どんな時に困るか、どんな人を前にした時にそうなるかなどを、熱心に話す。

初めに話すことは、核心ではありません。でも、そうやって話すことで、だんだんと核心に近づく。溜まっていたものが外に出るようになり、感情も流れ出します。

この際、感情を抑圧している場合などは、感情が流れ出すことにも意味が出てきます。今まで抑えこんできたものを、話すことで表現し、外に出すことになる。溜め込む状態を卒業し、感情を解放してやることになるんですね。

それだけに、社会的な場面では出せないようなものも、出てくるのでしょう。また、それでこそ、「保護された空間」としての意味が出てきます。

こうしてクライアントは、カウンセラーを前にして、ふだん話せないことや今まで言えなかったことなどを、だんだんと話すようになる。それで、何が起こるか?

投影は投影としては終わらず、やがて投影を通して、今まで見てなかったものを見るようになり、今まで気づいていなかったことに気づくようになります。

コンプレックスや影が単なるマイナス要素でない意味が、ここにあるわけですね。それを通して、気づくことができる。

影なら初め攻撃的に批判していたものの中に、「それだけではないもの」が見えてきます。コンプレックスなら、「何らかの今まで意識できなかったこと」にだんだんと触れられるようになる。

それはある意味では、見ることを拒否してきたようなもの。なので、指導ではうまくいかず、本人がそれと触れ合えるようになるまで、待つことが望まれます。いつ来るか分からない「その時」を待つ。これも、「聴く」ことに含まれるんですね。

このように今まで気づけなかった意外ないいものに気づくことを、河合隼雄 先生は、「投影のひきもどし」と呼んでいます。

今までは目の前の「それ」を見る時、投影した「何か」に強く影響されていた。しかしやがて、それだけでない「現実」が見えるようになるわけですね。

例えば、権威に関係するコンプレックスがある場合、権威あるものにそれを投影し、あれやこれやと言っていた。しかしやがて、目の前の人の中に、現実的な何かを見るようになる。人間味や親切さ、気さくな一面などを見て、「おや?」とか「それだけじゃないな」と、だんだんと思うようになるわけですね。

これでコンプレックスにも肯定的な面が出てきて、マイナス方向に働いていたエネルギーも、建設的な方向に使われ始めることになります。

あるいは、生き方でいえば、今まであることをタブーとしてきたけど、それは必ずしも悪いとはいえないな〜と思えてくる。

このようないろんな修正が行われ、やがてコンプレックスは自ずと解消されることになります。あるいは、コンプレックスは残るのだけれど、今までほど嫌な気はせず、これと付き合って生きて行こうと思えるようになる。


(続く…)




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