【城太郎日記】ユング心理学・カウンセリング



城太郎日記へようこそ♪
ここでは、デビッド・D・バーンズ「いやな気分よ、さようなら」をテキストに進めます。
このページは、「チック-タック法」「強制を伴わない動機づけ」「武装解除法」について。

『チック-タック法と動機づけ』




「チック - タック法」


人間が行動するには、エネルギーが必要。ひとつにはそれは食べ物によるエネルギーがありますが、それとは別に「やる気」とか「精神的なエネルギー」みたいなものも、あるようです。

認知の歪みにやられていると、そういったエネルギーが奪われてしまいます。「どうせ」とか「しかし」が思考の癖になり、悪いイメージが常駐、エネルギーを奪って落ち込ませるのです。今あるエネルギーは、否定的な考えや悪い予感を想像するのに使われてしまう。


「仕事を妨害する認知」のことをチック(TIC:Task-Interfering Cognitions)という。

そして、「仕事を方向づける認知」のことをタック(TOC:Task-Oriented Cognitions)という。


感情が反応であることは、既に理解していただいていると思います。ネガティブなイメージは気分を落ち込ませたり、いたずらに人を不安にさせたりする。何も考えなければスッとできることも、マイナスイメージを想像してしまうと、途端に緊張してしまいます。

なので、世の中には、成功をイメージすることを推奨する人もいる。自分がしっかりやれている姿を思い描き、それをやる気と自信につなげるのです。


 <チック - タック法>





[TIC]

○○するなんて無理。

[TOC]

一度無理だったからといって、ずっと無理だとは限らない。
一度にやってしまう必要はないのだから、少しずつやってみたらいい。


[TIC]

自分のすることなんて、大したことない。

[TOC]

特別なことじゃなくても、人の役に立つことはたくさんある。
むしろ、ないと困る人はたくさんいるのでは?

「それをする」「そこにある」だけで役に立っていたり、
それがないことで不都合が生じることは、実は多い。


[TIC]

こんなことして、何になるんだろう?

[TOC]

完璧以外は価値がないかというと、そうでもない。
例え30%だとしても、それを3回やれば、90%に。
4回やれば、100%を超える。

また、続けることで力がつくことも多い。


[TIC]

きっと失敗するに違いない。

[TOC]

多少の失敗は当たり前。
大事なのは、それに気づいて直すこと。

失敗を恐れるよりは、それに気づき修正できるような方法を作ることが大事。





<心のくせ>

動きを妨げる傾向には、どんなものがあるでしょうか?

・一度(数回)の失敗を引きずる。
・卑下する癖(マイナス化)。
・完璧主義と、それならしない方がいい、という考え。
・失敗を予想する癖。
・恥や笑われることへの恐怖。


このような癖や考えが、動くのを躊躇させます。



<未来思考>

完璧主義者が陥りやすい、心の負担は何だと思います?

それはたぶん、「いっぺんにやろうとすること」。一度に完璧にやろうとし、できないことに落ち込む。あるいは、できそうにないと諦めたり、沈んだ気分になったりする。

現時点での能力を超えたものを自分に要求し、それで自分自身を困らせているのです。

でも、それが悪いと言っているのではないですよ。むしろ誰にでも、そういう時期はあるものです。例えば、新入社員の時など。先輩の実力を目の当たりにし、自信を喪失したり、自分の力のなさを痛感したりする。

でも、これって当たり前ですよね。「熟練」や「年季が入る」という言葉がありますが、これって時間がそうさせている部分があるので、最初はどうしてもそうはなれないのです。


さて、「いっぺんにやろうとする」傾向に戻りますが、これが無理なのは当たり前。となると、「する・しない」ではなくて「方法や やり方」に目を向ければいい。

つまりここでは、いっぺんが無理なら、数回に分ければいいのです。

分厚い本でも、数ページに分けて読めば、いつかは読み終えます。掃除だって、いっぺんには無理でも、部分部分に分けてやると、いつかは終わる。

こういうのを応用すればいいんです。


集中力の問題も、それと似ている部分があります。

ずっと集中しようとしても、それは無理な話。どこかで息を抜かないと、もちません。集中できないと悩む人の中には、四六時中 集中しようと頑張りすぎて、かえって集中力を失くしている場合もあるのです。

サッカー選手でも、ずっと全力疾走しているわけじゃありませんよね。ここぞという時には全力疾走。でも、そうでない時は、ゆっくり動いて力を温存します。自分の仕事をしっかり効率的にこなすために。

キッチリやろうとしてうまくいかない人は、ずっとキッチリやろうとして、かえって力を失くしている場合がある。ずっと力を入れているので、肝心な時には力が出ない。

うまくやっている人は、その辺のオンオフがうまいようです。


「いやな気分よ、さようなら」では、集中力を持続させる方法として、時間を区切ったり、制限時間を設ける方法を紹介しています。(P114)


・時には休憩すると決めて、その休憩の後に集中する。
・あるいは、終わりの時間を決めておいて、時間が来たら切り上げる。



完全さにこだわると切り上げにくいかもしれませんが、それでも止める。そこからは興味あることや面白いことに時間を使う。一度リセットすることで集中力を高めたり、自分に開放感を与えたりします。






「強制を伴わない動機づけ」


ぐずぐず主義の元は、不適切な自己動機づけにあるという。「〜すべきだ」「〜であるべきだ」が強すぎて、結果、自分を追いつめ、やる気をなくさせているのです。

そこで本では、「〜すべき」から「〜したい」に置き換えることを勧めている。


毎朝起きるのは、なぜでしょうか? それは内的には例えば、学校や会社に行かねばならないという義務感。外的には、親や先生、上司に叱られるからとか。ともかく起きねばならないので、目覚ましをセットしたり、誰かに起こしてもらう約束を取り付けたりします。

この状態では、「起床することで守られるもの > 睡眠欲」となるでしょうか。眠いけど、失いたくないものがあるので、無理にでも起床します。

でも、長期に及ぶ場合、こういうことが困難になる場合もあるかもしれません。我々が何とかやっていけているのは、おそらくは、休みがあるから。平日頑張っても、週末になれば休める。普段頑張っても、夏季休暇や正月休暇で休めると。

でも、「〜すべきだ」という縛りが強い場合、その負荷は大きくなっているかもしれない。過剰に緊張を強いることで却って休めず、結果として、ここでは「起床することで守られるもの」と「睡眠欲」が拮抗することになります。

ずっと緊張しているので、持たなくなる。


それに対する一つの方法が、上に書いた小休止を入れることですね。

・時には休憩すると決めて、その休憩の後に集中する。
・あるいは、終わりの時間を決めておいて、時間が来たら切り上げる。



あと、もう一つ方法があって、それが「〜すべき」から「〜したい」に置き換えること。

平易に考えてみましょう。「あなたは○○しなければなりません」なんて言われたら気が滅入ったり しんどくなったりするわけですが、「わたしは○○がしたい」となると また別だということです。

「強いられる」から「自分でする」になるわけですからね。

これが、「強制を伴わない動機づけ」というわけ。



P117では、「寝ていることの利点」と「寝ていることのマイナス点」を表に記入し――ということは言語化して――そうすることで生じる利益と不利益を、視覚化しています。

それは「思っていること」と「実際に起こること」でもあり、思い込みや錯覚に気づかせるものでもあります。

文字にして確認することで、「ああ、楽だと思ってたけど、損してたのか」とか「起きた方が得るものが多いのか」と気づくわけですね。




「武装解除法(disarming technique)」


やる気をそぐものには、周囲からの口うるさい言葉があるかもしれません。それはもう反応のようなもので、あれこれ言われると、ウンザリしたり反発したくなったりする。

本では、何かをしろと強要されると「勝ち目のない状況」に追い込まれてしまうと紹介されています。すなわち、拒否すれば相手を裏切った感じがして自分を責めてしまうし、従ったら従ったで相手に支配されたような気になってしまう。拒否しても罪悪感が湧き、従っても自尊心は傷つく、というわけ。


「○○しなさい!」 → 「今やろうと思ってたのに!」

こういうのは、よくありそうですね。


そこで本ではテクニックとして、一度 同意することを勧めています。

ただし、相手に従うのでも、相手にさせられるのでもない。

「自分もそう思ってたよ」と意思表明する。

その裏には、「あなたが何を言おうと、あるいは言うまいと、私はそう思ってたから、そうするの」という自発的な意識があります。







<<「第6回 しかしの克服、自分を認める方法」

 「第8回 無気力になるパターンと自己イメージの検証」>>








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