【城太郎日記】ユング心理学・カウンセリング


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ここでは、「認知の歪み」について紹介しています。
このページは、「結論の飛躍(心の読み過ぎ・読唇術+先読みの誤り・間違った予言)」について。

『結論の飛躍(jumping to conclusion)』




第5回 「結論の飛躍」(jumping to conclusion)


結論の飛躍



普通、結論というのは、順を追って導き出されます。これこれこうだからこうと、合理的な順序を踏んで、そこに至る。

あるいは、経験則を基にする人もいるでしょうか。ああすると、だいたいこうなる。積み重なった経験を参考にし、答えを出します。

が、ここでは、そんなものは飛び越えて、結論が導き出されてしまいます。

順序を踏んでいるようで、実は踏んでいない。経験則のようで、いつも経験しているというわけではない。そんな突飛な結論に至るが、ついてしまうんですね。



結論の飛躍には、「心の読み過ぎ・読唇術」と「先読みの誤り・間違った予言」があります。

それぞれ、見ていきましょう。



「心の読み過ぎ・読唇術」(mind reading)

これは文字通り、相手の思っていることを深読みしすぎてしまうことです。それも、否定的なことを、読んでしまう。

当たり前ですが、我々は他人の心を見通すことはできません。表情などによりある程度 察することはできますが、完全に分かるということはない。むしろ、時々 勘違いするくらいです。

しかし、心を読み過ぎる癖がついてしまうと、「正確なことは分からない」というのが どこかに消えてしまって、「そうに違いない」という考えの方が、勝ってしまいます。

「あの人はきっと、自分を嫌っているんだ」「あの人は自分を馬鹿にしているに違いない」などと、否定的な深読みをしてしまいます。

そこには「○○だから」という理由付けがされるかもしれません。しかしそれは後付けで、どちらかというと、根拠のない否定的な憶測が、根底にあります。理由はむしろ、それを補強するために使われる。



「先読みの誤り・間違った予言」(the fortune teller error)

ここでは、否定的な予見や予言が、勝ってきます。

人の心が正確に把握できないように、未来についても、我々は正確に知ることはできません。正直な話、明日のことさえ分からない。そして、未来には、いいことも悪いことも含まれるのでしょう。

ただ、この認知の歪みを持つと、未来を決めつけてしまいます。それも、悪いことが起こるといった否定的な未来を確信し、沈んだ気持ちになってしまう。

「この病気はもう、治ることがないだろう」「自分はずっと、○○できないままに違いない」「もう、よいことなんて期待できない」、そんな予見に支配されると、もう何をする気にもなれません。否定的な予見が、無気力につながってしまう。希望が持てません。



でも、これ、心の読み過ぎにしても、予見の誤りにしても、そう思っているだけですよね。決めつけているだけ。事実かどうかは、分からないことです。というか、分からないものを、無理やり分かろうとした結果、こうなっている。

ということは、分かることの放棄が、鍵になるのかもしれません。

ただ、これは、分からないということを分かる(理解する)、ということなので、何も考えないことではありません。

そして、人の心を読んで誤解するとか、間違った予言をしてしまうとか、そういうことは誰にでもあるわけだし、また、人生のどこかでそれが強まることもあるということを考えると、それを避けるというよりは、いつか卒業するといったニュアンスの方が、近いのかもしれません。あるいは、そういう想いが出てくることもありながら、それが絶対でないことを知っておく、ということでもあるでしょうか。

そういう経験をしながら、だんだんと成熟してゆく。落ち着いてゆきます。

深読みしていたけど、事実と違うことも多いなあ。あっていることもあるけど間違っていることもあって、結局、確信できるようなものではないなあ。というか、分かる必要もないや。(あるいは、悪く言う人もいるけど、そうでない人も多いや、とか)

そういう考えに、だんだんと至ってくる。

余裕のない時は、目の前のことをいちいち検証できませんが、余裕さえあれば、だんだんとでも、検証できるようになるでしょう。

認知の歪みは、検証をしないで根拠のないものを信じ切ってしまう、といったもの。ということは、いったん狭まった視野をリセットし、見直すことが望まれる。

それに何が必要なのかといわれれば、余裕というものも、入ってくるんでしょう。

認知の歪みに対し、「それは間違っている」と言っても どうにもならない方が多いと思います。それよりは、ほっと一息つける状態を作る方が、実は有用なのかもしれません。それによって視野を広げ、意識の外にあったものに触れる。

そういった意味でも、余裕は大事なんでしょうね。



【追記】

認知の歪みには、「完璧」というのが関わってきます。完璧を求めたり、完璧にできると信じたり。そして完璧にできないと、できていることまで無視して、まるで全部ができないように錯覚したりして。

結論の飛躍では、相手の心を完璧に読めたり、未来を完璧に予言できたりと、そういった完全性を前提とし、困ったことになってしまうようです。

ということは、すべてが完全でないことや、完全でなくてもよいところがたくさんあるとか、そういった完全や完璧に関わるものへの赦しとか許容というものも、鍵になりそうですね。






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